「出世したくないなぁ…」
そう思いながら働いていませんか?
会社組織ではたらくことと、出世ゲームとは切っても切り離せない関係ですよね。
僕自身も「出世したくない症候群」の1人です。
そこで本記事では出世したくない理由をそもそも考えてみて、出世のメリットや、出世を断るデメリット(リスク)とあわせて上手なお作法をお伝えします。
- 出世したくないのって、そもそも何でなんだっけ…?
- もし出世を断ったらどんなリスクがあるんだろう?
- 出世(昇格・昇進)したくないときにどうやって断ればいいの…?
- 「出世したくない!」と思う6つのワケ
- 出世を断ることの3つのリスク・デメリット
- 出世のメリット3つ
- 出世を上手に断るためのお作法・伝え方
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”出世したくない”症候群
「出世したくない症候群」というコトバはご存じでしょうか?
Abema Newsで解説されている通り、シンプルに言うと出世したくない若手が増えているということです。
テレ朝ニュースでも「若い世代の8割は出世したくない」との報道があり、これからますます出世したくない症候群の人口が増えそうです。
本記事をお読みのあなたも「自分もそうそう」と思えるのではないでしょうか?
僕自身も「出世したくない症候群」のイチ患者かもしれないと最近思います。
(とはいっても、大企業は役員への出世を目指すゲームが本質です)
とはいえ出世ってワクワクしないんですよね
では掘り下げていってみましょう。
出世したくない理由(6選)
これまでのサラリーマン人生で見聞きしてきたいろんなケースをふまえて。なぜ出世したくないのか?の理由を6つにまとめて解説します。
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責任が増えるから
まず責任が増えることです。
出世して役職者になると、仕事の守備範囲が増えます。そうなると当然、責任の範囲が増えるワケですね。
営業部門で例えると、イチ担当者として自分個人の数字を達成しておけばよかったものの、役職者としてチームの数字達成に対して責任をもつことになります。
出世すると、自分だけちゃんとやっておけばOKではなくなります。
チームや組織がちゃんと目標にむかって進んでいるかどうかの責任が会社から問われます。
また組織は2:6:2の法則に従って、優秀な人材とそうじゃない人材のミックスになるのが常です。
「262の法則」とは、“どのような組織・集団も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる”という理論を指す。
「262の法則」とは何か? 組織のマネジメントや人間関係、職場などに活用できる対策も解説
仮に出世すると、2:6:2の法則であつまった人材を上手にまとめあげる力も問われます。
成果があがらない時ら、チームを率いるあなたの責任が問われる。
こんな構造なんですよね。
出世と責任の重みはセットなんですよね
ワークライフバランスが崩れるから
責任が増えるとなると、当然やるべきことは増えます。
つまり、出世した役職者はマネジメントの役割が求められます。
なお、日本社会で働く場合、99%のケースでプレイングマネージャーとして与えられた目標を達成しながら、同時にチームの管理も求められます。
仕事量が倍なんてことに
こうなるともういけません。
超デキる人で、自分のリソースを上手にコントロールできない限り、仕事量が増えると仕事>>>プライベートとなって詰みます。
そのうち、週末やプライベートの時間に仕事を持ち込み、やがて46時中やらないと仕事が終わらない…
そんな悪夢はまっぴらゴメンなのは、ぼくだけでしょうか…?
現場の仕事から離れるから
出世すると、偉くなって現場仕事から離れてマネジメントとして仕事をはじめます。
仮に、あなたがハンバーガー屋さんの店舗スタッフだとしましょう。
出世する前には、毎日のよろこびはお客様からのありがとうという感謝の気持ちをもらうことだったり、笑顔を見ることだったりから生まれているかもしれません。
で、それが仕事のやりがいにつながっているかも知れません。
そんなあなたが出世して、本社のエリアマネージャーになったとき、ありがとうとお客様から言ってもらえるでしょうか?
間接的に感謝はされるのの、日々の仕事のミッションは「いかに担当エリアの数字をあげるか?」になるはずです。
数字をあげるための新しい仕事にやりがいを感じられればハッピーですが、そうでなかったら…
現場大好きなヒトには、出世して現場を離れるとツラい可能性も…
上司の働きぶりが魅力的じゃないから
出世をしたいか?と問われたときにすぐに思い浮かぶのは、直属上司のはたらきぶりではないでしょうか。
自分の上司のように働きたいか?ワクワクするか?
こんな問いかけへの答えがNOだったとき、自分も出世して「こうなりたい!」と思えるロールモデルがいないんだと思います。
こんな上司のように働きたい、こうなりたい、と思える上司は、世の中のどこにいるんだろう?って聞きたくなるほど、魅力ある上司は少ないですよね。
昭和から平成、そして令和の世の中ならではの理想的な上司の働きかたの正解がないからこそ、出世したいと思えませんよね。
ぼく自身も「イイな!」とおもえる働き方をしている上司には出会えていません
社内政治に付き合いたくないから
典型的な日本の大企業では社内政治、つまり根回しカルチャーがはびこっています。
出世して役職者になった人がやるべき仕事の力点は、この社内根回しを通じた社内調整業務に尽きます。
特に、大企業のバックオフィス(管理・コーポレート系)の業務は、社内調整ナシには進みません。
ヨコグシ(横串)を通すという大義名分のもと、会議のための会議が開かれ、”俺は聞いていない”オジサンを発生させないことに膨大な手間と時間が浪費されます。
大企業ってこんな内向きなシゴトをしているばかりなのに潰れないんだなぁ
そう感心してしまうほどに、出世した役職者は社内政治とは切っても切れない関係になります。
それが本質的に大事なシゴトなのかはさておきですが…
仕事と給料が見合わないから
責任は重くなる。
マネジメントとして守備範囲が広がる。
好きな現場仕事を離れる。
社内の調整が増える。
社内政治に巻き込まれる。
こんな大変な思いをするならば、給料は少なくとも2倍になるのが筋な気がするのは僕だけでしょうか。
残念ながら世の中は残酷であり、出世して仕事は増えても給料は2倍になりません。
出世ゲームの先にある役員や社長ポジション(”すごろくのあがり”)を目指す道のりは険しいのであります。
どこまでいってもサラリーマンは労働者なんですよね…
出世を断ることの3つリスクとデメリット
では出世の打診を断るときに考えられるデメリット・リスクを3つご説明します。
居心地の悪さ
(あの人、昇進のオファーを断ったらしいよ)
出世の打診を丁寧に断っても、ウワサ話ほど早く広まるものはありませんよね。
特に会社組織のなかでの人事、出世についての情報はみんな大好きです。
職場のなかでは暗黙のうちに、「出世に興味が無いひと」のタグ付けがされてしまうでしょう。
上司やそのまた上司からも「アイツは出世する気が無い=仕事に興味が無い人材」と認定される可能性が高いでしょう。
(出世オファーを断った理由は問わず、です)
想像してみてください。
このような”見られ方”をされてしまう職場は、あなたにとって働きやすいでしょうか?
今の仕事を続けるときには、この居心地の悪さと折り合いをつけていかないといけません。
口には出さないけど…態度には出す同僚も多そうです
出世の道がなくなり給料は伸びない(むしろ下がるかも)
会社や組織の構造上、偉い人ほど給料は高いです。
出世して偉くなれば偉くなるほど、責任は増えるし、給料も増えます。
そして、出世をいちど断ると、基本的にはそれ以降、出世のオファーはなくなるでしょう。
つまり、偉くなって給料を増やしてくチャンスは、2度と巡ってこないと考えておいたほうがよいでしょう。
また終身雇用が崩壊しつつある令和の時代では、定年まで右肩上がりの給料を保証できなくなってきています。
そう考えると、むしろ出世をしない選択をした社員の待遇はゆるやかに右肩下がりになっていく…
そんなシナリオも十分に考えられますね。
「ぶらさがり社員」は転職で厳しくなる
出世を断って会社にぶら下がる戦略をとったとして、例えば、あなたが40代での転職を決意したと仮定しましょう。
2名の候補のどちらがより魅力的で貢献してくれそうな印象を受けますか。
極端な例ですが、出世を断って会社に”ぶら下がり”をしてきたとなると、40代の転職市場では勝負あったも同然になると予想できます。
100年人生のキャリア時代は雇われ続けるチカラが大事ですが、出世を断った先にあるキャリアも見据えて、慎重に検討した方がよさそうですね。
60歳定年は過去の遺物になってきていますしね…
出世する3つのメリット
ここでは、デメリットのみならず、出世することのメリットを3つお伝えします。
自分のやりたいことが通しやすくなる
仕事の守備範囲がひろがって責任が増えると、裁量の幅が広がります。
つまり自分の意思でモノゴトを決められる機会が増えます。
(これは責任と裏表一体です)
会社や組織においては、「本当に自分がやりたいことは偉くなってから実行せよ!」と言われることがたまにあります。
このコトバの意味を紐解くと、偉くなって自分のチカラで物事を決められる状態になってからが仕事の本番だという考えに成り立っています。
出世をするとはつまり、自分が本当にやりたい・実現したいこと(目的)を実行するための手段と考えることもできますね。
大きな野望のために…!
マネジメント経験が積める
マネジメントとは、他者を”動かして”成果を出すことです。
自分ひとりでできる仕事の量や質はたかが知れています。
仕事の本質はチーム・組織で、ベクトルを束ねて目標にむかうダイナミックさにこそあります(と、僕は思います)
多くの場合、出世をするとマネジメントとして他者を動かす経験を積むことになるでしょう。
この経験はキャリアだけでなく、人生の大きな財産になるはずです。
出世ゲームの先の”あがり”に向かって進める
少々残酷な真実ですが、サラリーマンとは出世ゲームであり、そのゴールは役員になって役員報酬を得ることです。
出世をすることは、サラリーマンすごろくのコマを1歩前進させることですよね。
サラリーマンとして労働する目標を突き詰めると、このゴール到達(役員になる)には出世することは大事なイベントです。
しっかりと出世すること以上に、強力な裏技や抜け道はありませんよ。
出世こそがサラリーマンゲームの前進です
出世したくない時の断り方(対処法)
それでもやっぱり出世したくない!というケースや、どうしても自分以外の適任者がいない…という場合もありますよね。
そんな時にどうやって対処すればよいのかを解説します。
上手に断る(お作法)
出世をしないまま、今の仕事を続けたいという意思を伝えることがまず一番大事です。
例)「貴重な機会をありがとうございます。せっかくのお話の手前、大変恐れ入りますが…現在の仕事を続けたい(自分の意思)と考えています。」
このようにはっきりと意思をまず伝えないと、相手も「出世意欲あるのかな?」と誤解を生みかねません。
そのうえで、お互い社会人同士として、なるべく角が立たないように丁寧な断り方を工夫しましょう。
具体的には今の仕事を続けたい前向きな姿勢を出しながらも、自分自身を評価して出世が自分に向いていない理由を伝えるとよいはずです。
例)【前向きな姿勢の伝え方】「いまの仕事はアサインされてからまだ日が浅く、毎日学びを得ながら一歩ずつ成果を出すことに打ち込んでいます。まだまだ自分自身でも、今の仕事において学ぶべきことがたくさんあると強く感じています。」
例)【出世が自分に向いていないことの伝え方】「また、私自身、自分をマネジメントで他者を動かして成果を出していくよりも、現在の仕事のようにものごとを掘り下げて専門性を高めるほうが、会社にとって総体的にプラスになるのではないかと考えています。その意味でも、出世させていただくよりも、現在の仕事に打ち込ませていただきたいと思います。」
このように、角を立てずにあくまでも前向き・かつ柔らかく出世することが自分に適していないと伝えられると、相手の納得を引き出しやすいでしょう。
具体的な伝え方の中身は、いま置かれている立場によって、いろいろと要素を変えてみるといいですね
加えて、もしこの話を返された時の上司からすると、「ほかの候補人材はだれがいいのか?」という疑問が沸くと思います。
自分から伝えると微妙ではありますが、もし上司から「あなたが思う出世に適した人材は?」と聞かれたときに、回答ができるように備えておくとより安心ですね。
先読み力が大事です
キャリアを見つめなおす
少し立ち止まって、出世を断った先にある5年、10年先にあるミライの自分を考えてみましょう。
未来の自分が会社・組織に”ぶら下がっていて”、転職にも苦労しているのであれば、、無理に今のキャリアにこだわる意味はないかもしれませんよね。
人生は100年時代となり、転職者のほうがメジャーになる世の中になろうとしています。
出世のオファーをきっかけに、自分のキャリアを棚卸しする機会ととらえてみてはいかがでしょうか?